痛風初期症状

腎障害(痛風腎)

腎臓は、病気になっても自覚症状があらわれにくい臓器で、「我慢強い臓器」ともいわれます。したがって、自覚症状があらわれたときには、腎機能障害が相当悪化していることになります。

痛風は他の生活習慣病を招く

痛風は、高血圧、糖尿病などとともに生活習慣病の一つです。生活習慣病は、老化や、食べすぎ、飲みすぎ、肥満、運動不足などによって、血液中のコレステロールや中性脂肪などが増えたり、高血圧や高血糖となる病気です。その結果、臓器に障害が出てきます。したがって、痛風などの生活習慣病を1つでも発症した人は、ほかの生活習慣病を発症していたり、発症しかかっていることが多いです。生活習慣病を2つ、3つと併発すると、それだけ臓器障害を起こす可能性が大きくなり、場合によっては、命が危険となることもあります。痛風や高尿酸血症であると診断されたときは、ただちに合併症を防ぐ対策をする必要があります。検査の結果、すでにほかの病気を併発しているのがわかったら、早急に治療を始めます。

腎臓病について

痛風と合併しやすいおもな病気には、腎障害、尿路結石、糖尿病、脂質異常症(高脂血症)、高血圧症、虚血性心疾患、脳血管障害などの動脈硬化症があります。痛風の合併症で、直接の関連性があると考えられているのが腎障害です。痛風が原因で起こる腎障害を痛風腎といい、以前は、痛風腎による腎不全と尿毒症が、痛風の合併症による死亡原因のトップを占めていました。痛風による腎障害を早期に発見するには、尿や血液のチェックが必要です。

腎臓の役割について

腎臓病
腎臓は、握りこぶし程度の大きさで、腰の高さの位置に左右1つずつあります。腎臓は血液中の老廃物や水分を糸球体でろ過して尿(原尿)を作ります。原尿はそのまま体外に排泄されるのではなく、尿細管で原尿中の尿酸やタンパク質、水分などの必要な成分が再吸収されてから膀胱に送られます。腎臓は老廃物を体外に排泄させ、体内の水分の量を調節する重要な役割を果たしており、水をたくさん飲んだときには尿の量を増やして体内の余分な水分を排泄させるので、尿は薄くなります。逆に、水の摂取が少ないときには、体内の水分を確保するために尿の量を減らすので、尿は濃くなります。血液中の尿酸が過剰になると、腎臓の組織に沈着するので、腎臓の細動脈が硬化し、血液をろ過して老廃物を尿に捨てる働きが低下します。そのために一度に排泄できる老廃物の量が少なくなるので、薄い尿をたくさん作って排泄しなければならず、体内の水分をどんどん尿にします。そのため、体内の水分が足りなくなるので、のどが渇くようになります。

動脈硬化を併発するとさらに腎障害が進む

さらに腎臓の機能が低下すると、老廃物を排泄できなくなって腎不全を起こし、尿毒症という危険な状態になります。現在では、血液中の老廃物を人工的に排出させる血液透析や、腹膜透析(CAPD)といって、腹膜の中に透析液を注入して老廃物をろ過し、排泄する方法が普及したために、尿毒症で命を落とすことは少なくなりました。また、痛風のほかに糖尿病、高血圧症などを併発していると、さらに腎障害が進行します。以前は、腎障害に対しては有効な治療ができないことが多かったですが、最近はすぐれた降庄薬ができたために血圧管理がよくなり、腎臓を守る薬も出てきています。これとは逆に、腎臓に機能障害が起こると、高血圧症や動脈硬化、脳や心臓に血管障害があらわれることがあります。このように、痛風をはじめとした生活習慣病は、お互いに影響し合って症状を悪化させるので、痛風になったときは、腎障害や糖尿病、高血圧症などの合併症を防ぐ治療が重要になります。