痛風初期症状

合併症を予防する治療が必要

尿酸値が高くても、自覚症状があらわれない場合があります。人によっては、関節に尿酸の結晶がたまっても発作がないこともあるので、定期的に健康診断を受けることが重要です。

虚血性心疾患、脳血管障害、腎疾患が怖い

まず、痛風発作による激痛や炎症を抑え、尿酸値をコントロールする治療まで進むと、次は、痛風や高尿酸血症の合併症を防ぐ治療を行います。生活習慣病のなかでも糖尿病は、合併症のデパートといわれ、糖尿病網膜症糖尿病腎症糖尿病神経障害、動脈硬化などを発症しますが、痛風もいろいろな病気を合併しやすい病気の一つです。尿中に尿酸の量が異常に多くなった状態がつづくと、尿酸が結晶化して腎臓にたまって、腎不全などの腎臓疾患や尿路結石などを起こすようになります。痛風に合併しやすい病気は、肥満や脂質異常症(高脂血症)、糖尿病、高血圧症などの生活習慣病や腎臓病です。特に恐ろしいのは腎臓病で、尿酸結晶が腎臓にたまり、腎機能の低下を招きます。これらの病気の共通した原因は、美食や過食、暴飲暴食などやカロリー過多です。食生活の悪化が長くつづくと、コレステロールや中性脂肪が増えて動脈硬化が進行し、高血圧症や虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞)、脳血管障害(脳出血脳梗塞)などを発症するようになります。特に、虚血性心疾患や脳血管障害、腎不全は、生命を失ったり、重い後遺症を招くことのある病気です。

虚血性心疾患

虚血性心疾患
虚血とは、血液が十分に供給されない状態をいいます。虚血性心疾患は、心臓の冠動脈に動脈硬化などが起こって、心臓を動かしている筋肉(心筋)に送られる血液が不足して発症する病気で、狭心症と心筋梗塞の総称です。狭心症は、冠動脈の血管が動脈硬化によって狭くなったために、心筋に送られる血液が少なくなり、心臓が正常に活動できなくなって、胸が締めつけられるようなはげしい痛みを感じる病気です。安定した狭心症で命を落とすことはほとんどありませんが、動脈硬化がさらに進むと血栓などが詰まって冠動脈がふさがり、血流が途絶えるので、心筋が死滅して心臓が停止し、命を落とすことがあります。

痛風と診断されたらすぐに合併症を予防する

上記にあるように、痛風の治療には時間がかかるので、患者自身に病気とつきあっていく根気が要求されます。そのなかでも、尿酸値を正しくコントロールできるかどうかで、その後の健康状態に大きな差が出てきます。痛風であると診断されたときは、痛風の治療を行うとともに、ただちに合併症を予防する治療を始めることが必要です。もし、合併症を起こしてしまった場合は、それぞれの病気の専門医にみてもらって治療を行わなければなりません。